子どもの頃のわたしはとてもとろくて、家族も同級生たちも、そんなわたしを相手にしていつも苛々していました。恥ずかしくて、きつく叱責されるのが悲しくて、つらいなあと思いましたが、ふと、この人たちはいつも苛々していて呼吸も浅くつらそうだと気付きました。もし、世の中の人間をとろい人間とてきぱきした人間に分けるとして、とろい人間を目にして毎日苛々しなければいけない苦行と、てきぱきした人間に毎日叱責される苦行とを比べるなら、どちらが幸せな人生だろうと考えるようになりました。
了見の狭い子どもならではの発想で、世の中の人間をカテゴライズするにしても「とろい」「てきぱき」の二種類は無いだろうとか、どちらかの苦行を選ばなくとも少しだけ距離を置いてみれば良いんだよとか、大人になれば何だかんだ上手く取り繕えるようになりますよとか、指摘の入れどころは満載ですが、この二者択一の癖は、わたしの人生で時々目を開いては「どちらが良い?」とたずねます。
次に気付いた大きな二者択一は、愛し愛される人が居て御別れを恐れる人生と、何方も愛さず愛されず誰との御別れも恐くない人生です。と云うのも、わたしは災害や戦争が酷く恐ろしかったのです。もしも何か起きた時に、大切な人に何かあればと思うと恐くて、子どものくせに眠れないほどでした。そしてどんなに平穏無事な人生を辿ろうと、人間の死亡率は100%です。喧嘩別れも生き別れも大怪我もしなくても、さいごの御別れだけは回避できないのです。でも、生きている間に限れば、愛する人が居る方が遥かに幸せな気がします。これから何十年続くか知れない人生と、御別れの恐怖と、上手く天秤に乗りません。これは難しい問題でした。
どちらの二者択一も良い答えは出せていないのです。こっちが幸せ!と決めても、ふとした時に矢張りこっち!と考えを改めるかもしれません。でも人間は知らず知らず選択を繰り返して生きているもので、多分今のわたしも、何らか選んだ結果なのだろうなあ。
2013/05/20
歌をつくること
先日ツイッターで『歌詞を書く際に参考にしているものはありますか?』
と、云うご質問を頂戴しました。
あまり、周りの方と作詞や作曲について語り合うことがないので、他の方はどのようにされているのか解らないのですが(そしてわたしはプロではないので所謂「正しい」書き方と云うものを知らないのですが)、自分は、何かを参考にして書くことは基本的にありません。
幼蚕文庫の楽曲はすべて私小説です。と云っても、日記のようにそのまんまを書いているわけではないし、そもそも小説ではないのですが、其れが一番近い表し方かなと思います。自分に起きたことと自分の世界に起きたことの記録です。
其れから、これは中学生の時に初めて一曲書き上げた時から変わらないのですが、歌を作る時は、言葉よりもメロディよりも、最初に情景が浮かびます。曲芸団のゆめの時は真夜中に浮かび上がる綺麗なサーカスだったし、窓際の行進曲は窓枠と屋上で踊るおばけたち。中学生の時の最初の一曲は、下校途中の神社の前で、空からぱらぱら降ってきて白い床に染みを作る金平糖。こう云うものがふっと浮かんで、書き始めると何をしていてもその歌のことばかり考えてしまいます。
自分はあんまり社交的でない性質で、自分の中にある不満や寂しさをうまく発散させることができない代わりに、歌をうたうと云う手段を見つけられたのかなあと、最近殊にそう思います。歌をうたうようになって、漸く自分と世界の糸がつながったような気がしました。歌うようになる前は、本当に中身のない風船みたいな。だから歌はわたしの運命そのもので、とってもとっても大事なものです。今こうしてこの文章を読んでくださる皆さまとわたしの糸も、歌がなければつながっていないのですものね。
以前と或る方に「お話しするのが苦手なんです」と洩らしたときに「だから歌ってるんでしょ」と返されて、嗚呼まさしくだなあと思いました。
と、少しお話がズレちゃいましたが。
わたしの場合はこんな感じに歌を作っています。寝入る寸前とか寝起きとかに浮かぶことがとても多くて、そうなるともう、ある程度かたちになるまで寝られないので、睡眠不足の元ですね。歌に限らず、何でもやり始めると止まらなくて。でも、熱中して書いている間は凄く生きてる!って気持ちになるので、好きな時間です。
ちなみに、「何かを参考にして書くことは基本的にありません」と書きましたが、この例外が、白黒ヰズムのようなユニットの曲や、「冴えないが故に悶える」のときの様なコラボ楽曲です。こう云う場合は、特定のキャラクターになりきって、そのキャラクターの生きている世界に生きている気持ちで、お芝居をするような気持ちで書いています。どの作品も、すてきに育ってくれて嬉しいです。
さて、追記にて拍手のお返事をしております!
お待たせして申し訳ありません;;
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と、云うご質問を頂戴しました。
あまり、周りの方と作詞や作曲について語り合うことがないので、他の方はどのようにされているのか解らないのですが(そしてわたしはプロではないので所謂「正しい」書き方と云うものを知らないのですが)、自分は、何かを参考にして書くことは基本的にありません。
幼蚕文庫の楽曲はすべて私小説です。と云っても、日記のようにそのまんまを書いているわけではないし、そもそも小説ではないのですが、其れが一番近い表し方かなと思います。自分に起きたことと自分の世界に起きたことの記録です。
其れから、これは中学生の時に初めて一曲書き上げた時から変わらないのですが、歌を作る時は、言葉よりもメロディよりも、最初に情景が浮かびます。曲芸団のゆめの時は真夜中に浮かび上がる綺麗なサーカスだったし、窓際の行進曲は窓枠と屋上で踊るおばけたち。中学生の時の最初の一曲は、下校途中の神社の前で、空からぱらぱら降ってきて白い床に染みを作る金平糖。こう云うものがふっと浮かんで、書き始めると何をしていてもその歌のことばかり考えてしまいます。
自分はあんまり社交的でない性質で、自分の中にある不満や寂しさをうまく発散させることができない代わりに、歌をうたうと云う手段を見つけられたのかなあと、最近殊にそう思います。歌をうたうようになって、漸く自分と世界の糸がつながったような気がしました。歌うようになる前は、本当に中身のない風船みたいな。だから歌はわたしの運命そのもので、とってもとっても大事なものです。今こうしてこの文章を読んでくださる皆さまとわたしの糸も、歌がなければつながっていないのですものね。
以前と或る方に「お話しするのが苦手なんです」と洩らしたときに「だから歌ってるんでしょ」と返されて、嗚呼まさしくだなあと思いました。
と、少しお話がズレちゃいましたが。
わたしの場合はこんな感じに歌を作っています。寝入る寸前とか寝起きとかに浮かぶことがとても多くて、そうなるともう、ある程度かたちになるまで寝られないので、睡眠不足の元ですね。歌に限らず、何でもやり始めると止まらなくて。でも、熱中して書いている間は凄く生きてる!って気持ちになるので、好きな時間です。
ちなみに、「何かを参考にして書くことは基本的にありません」と書きましたが、この例外が、白黒ヰズムのようなユニットの曲や、「冴えないが故に悶える」のときの様なコラボ楽曲です。こう云う場合は、特定のキャラクターになりきって、そのキャラクターの生きている世界に生きている気持ちで、お芝居をするような気持ちで書いています。どの作品も、すてきに育ってくれて嬉しいです。
さて、追記にて拍手のお返事をしております!
お待たせして申し訳ありません;;
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posted by 浮森かや子 at 01:22
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| 日常
2013/05/11
『花の巣箱』委託販売開始です(*・v・*)
ツイッターを眺めていると『今日は暑い』『暖かい』と云う皆さんのさえずりを沢山見掛けたのですが、わたしの暮らしている地域は雨降りのお天気でとても寒く、ゼリーのようにふるえながら過ごす一日でした。
はてさて!あきばお〜こく様のサイトを拝見したところ、M3新作『花の巣箱』の販売が開始されていましたので此方でも御報せ致します!M3においでになれない皆さまにも、是非すてきなジャケットと一緒に楽しんで戴ければと思います。宜しくお願い致します**

先ほど、M3で戴いたお手紙やイラストを宝箱におさめている時に(戴いたものは直ぐに仕舞わず暫く目の届く場所に置いておく習性があります。たっぷり堪能したので、漸く!)、今までに戴いたお手紙やイラストをついつい読み返してしまいました。
どのお手紙にもイラストにも沢山気持ちが籠められていて、温かくて、本当に本当に有り難いなあと改めて感じました。会場では雰囲気が忙しかったり、わたし自身、人様とお喋りをするのがあまり得意でないこともあり(嬉しくないのではなく!嬉しいのです!嬉しいが空回るのです)、上手く伝えられていないと思うのですが、本当に皆さまに心の底から感謝しています…!
わたしは歌うことが好きで、造ることが好きで、其れを皆さまに聴きたいと云って戴けるだけでも幸せなのに、なんて勿体無くて、吃驚するくらい幸せなことなんだろうと思います。そして背筋が伸びます。
わたしはわたしでしかないけれど、皆さまに応援して戴くに足る人間でありたいと思うのです。
はてさて!あきばお〜こく様のサイトを拝見したところ、M3新作『花の巣箱』の販売が開始されていましたので此方でも御報せ致します!M3においでになれない皆さまにも、是非すてきなジャケットと一緒に楽しんで戴ければと思います。宜しくお願い致します**

先ほど、M3で戴いたお手紙やイラストを宝箱におさめている時に(戴いたものは直ぐに仕舞わず暫く目の届く場所に置いておく習性があります。たっぷり堪能したので、漸く!)、今までに戴いたお手紙やイラストをついつい読み返してしまいました。
どのお手紙にもイラストにも沢山気持ちが籠められていて、温かくて、本当に本当に有り難いなあと改めて感じました。会場では雰囲気が忙しかったり、わたし自身、人様とお喋りをするのがあまり得意でないこともあり(嬉しくないのではなく!嬉しいのです!嬉しいが空回るのです)、上手く伝えられていないと思うのですが、本当に皆さまに心の底から感謝しています…!
わたしは歌うことが好きで、造ることが好きで、其れを皆さまに聴きたいと云って戴けるだけでも幸せなのに、なんて勿体無くて、吃驚するくらい幸せなことなんだろうと思います。そして背筋が伸びます。
わたしはわたしでしかないけれど、皆さまに応援して戴くに足る人間でありたいと思うのです。
posted by 浮森かや子 at 01:27
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